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取材前線:“バイオラボ訴訟”30日判決 教授の「無断欠勤処分」どう判断 /長崎

2012/10/26

 県や長崎市が支援したベンチャー企業「バイオラボ」の業務を巡り、停職6月の懲戒処分を受けた元同社社長で県立大の久木野憲司教授(53)が県公立大学法人を相手取り処分無効などを求めた訴訟の判決が30日、長崎地裁で言い渡される。久木野教授が「勤務時間」の振り替えをせず、同社業務に当たったことが兼業従事許可に違反し、処分の対象となるか、地裁の判断に注目が集まる。【下原知広】
 訴状や大学などによると、同社は03年設立。久木野教授は、法人化前の県立長崎シーボルト大学時代に県から兼業従事許可を受け業務に従事した。遺伝子情報で薬を作る「ゲノム創薬」を中国で研究するのが目的だった。研究者も増やし、事業拡大のため増資しようとした矢先の08年9月、同社に投資しようとしていた複数の会社がリーマンショックを受け、運営資金が不足、総額約9億5000万円の負債を抱え倒産した。
 同社には、県や長崎市の公金約1億8000万円が投入されており、倒産を巡って県議会や同市議会に百条委が設置された。大学は「中国出張が多い」との県議会の指摘を受け、09年1月に調査委を設け、教授の勤務実態を調べ始めた。
 大学は久木野教授が「勤務時間」を振り替えず、会社業務に携わった約380日を無断欠勤と認定し、処分を決めた。
 そもそも、大学の教授ら研究者に「勤務時間」はあるのか――。会社員であれば午前9時~午後6時などの定めがあり、タイムカードや勤務表がある。が、多くの大学では「裁量労働制」だ。
 県立大側は「ずっと時間管理だった」と主張。久木野教授は「もともと裁量制だったと思うが、仮に時間管理であれば賃金台帳があるはず」と労働基準監督署に訴えた。その結果、09年12月に労基署は法人に是正勧告を出し、労働日数・時間を台帳に記載するよう求めた。これに対し、法人は久木野教授の停職期間が終了した10年4月、裁量労働制を採用した。
 久木野教授は「会社設立時から勤務の振り替え義務はなかったし、その後も聞いていない。大学から要請を受ける形で創業し、積極的に支援を受けていた。処分を受ける理由がない」と主張。無断欠勤の判断についても「説明はなかった」という。
 一方、大学の百武敏晴事務局長は「兼業従事許可申請書を渡す時に『勤務の振り替えをしてください』と口頭で伝えたが申請はなかった。他の教員は申請している人もいる」。無断欠勤について「一つずつ精査すると2~3カ月かかり、授業に影響が出る。証拠書類で十分」と、処分の正当性を主張している。
[毎日新聞社 2011年11月21日(月)]